春吉省吾のブログ

物書き・春吉省吾のブログです。マスメディアに抗い、大手出版社のダブスタに辟易して一人出版社を営んでいます。おそらく、いや、世界で最もユニークな出版社だと自負しています。

「翁」の不思議


今、長編時代小説「風浪の果てに」という物語を書いていますが、その中で主人公が舞囃子の小太鼓を打つ場面が出で来ます。

能について色々調べ、本も数冊読みました。以下は物語に関係ないのですが、面白いことに気付きました。新年や舞台開きなど祝賀の機会に演じられる演目「翁」です。

様々な点での演目と異なる独特な様式を持ち、「能にして能にあらず」などとも形容されます。
〈シテ 〉とうとうたらりたらりら。たらりららりららりどう。
地謡〉 ちりやたらりたらりら。たらりあがりららりどう。

という詞章は難解で、色々な説があります。世阿弥の時代に既に申楽の神聖曲とされていたようです。不思議一杯の日本語、そしてその日本に住む我々。表層の深部に深い日本の歴史があるようです。考古学者の茂在寅男先生は、「とうとうたらりたらりら」の言葉は、ポリネシア語で「勢いよく昇る真っ赤な太陽よ」という事になるよです。
400年以上続く、日本の伝統の神髄のような能の言葉にも、「アジア」「世界」と繫がっているというのは何と面白いことですね。